高齢者支援チーム

金尾滉也、石井滉一、氏家拓海、山本晃平、松田あずさ

- PRODUCT -

高齢者の居場所発見を、SNSでの居場所共有で支援する

#いばしぇあ

「#いばしぇあ」は、自分らしくいられる場所や活動の発信・共有を容易にし、函館市の高齢者の活動を盛り上げる手助けを行うアプリケーションである。「#いばしぇあ」でその人の居場所となるコミュニティを町ごとに探せたり、その人に合ったおすすめの場所を表示したりすることで実際にコミュニティに行くことを促し、新たな生きがいの発見を支援することを目的としている。

図1 #いばしぇあコンセプト図

「#いばしぇあ」の機能

その人にあった居場所を見つけることができる機能

「#いばしぇあ」の回覧板ページでは、その人におすすめの居場所を見ることができる機能が備わっている。この機能によって、ユーザーは自身でもわかっていないが、興味・関心を持てそうな居場所について知ることができるようになり、新しい居場所を探そうとしなくとも居場所を発見することができるようになっている。また、この機能では、データとアルゴリズムを用いてユーザーの操作から興味のあるジャンル等の傾向を分析することができるように設計した。

図2

ジャンルごとに町内の居場所を見ることができる機能

回覧板ページでは、ジャンルごとに居場所を見ることができる機能も備わっている。この機能によって、その人が興味のある特定のジャンルに絞って居場所を探すことができる。居場所を「将棋」「囲碁」「編み物」といったジャンルごとに分け、それぞれの居場所を表示することで、回覧板ページに軽く目を通すだけでも多様なジャンルの居場所を見ることが可能となる。また、ジャンルの中でさらに深掘りして見たい場合には、「すべて見る」を押すことでそのジャンルの居場所を一覧して見ることが可能となる。

図3,4

町内おすすめの居場所を見ることができる機能

回覧板ページには、町内おすすめの居場所を見ることができる機能がある。この機能によって、自分自身では興味を持てなかったために知らなかった居場所を発見することができるようになる。また、自分が住んでいる町内にどんな居場所があるのかを知るきっかけにも繋がる。この機能は、閲覧数の多い町内の居場所を5箇所ピックアップし、1箇所ずつ回覧板ページの一番上に表示させるように設計した。また、居場所の画像をタップすることで、各居場所の詳細画面に移動することができる。

図5

居場所の詳細を見ることができる機能

「#いばしぇあ」では、それぞれの居場所の詳細情報を見ることができる。具体的な詳細情報として記載される予定なものは、居場所の画像、居場所の名前、居場所の簡単な紹介文、居場所の住所、住所のマップ表示、口コミの表示である。居場所の画像は5点まで表示できるようにして、画像をピンチインで拡大できるようにする。こうすることで、画像が小さくて見づらいといった問題を軽減する。この機能によって、居場所ごとの雰囲気がより詳しく伝わり、居場所に足を運んでもらいやすくなる。

図6

開発に使用した技術

図7

- PROCESS -

ITを利活用し、高齢者の繋がりやコミュニケーションの支援をする

高齢者支援チームでは、高齢者の認知症問題、孤立問題の改善を目指し、高齢者が自分らしくいられる居場所を見つける手助けをすることを目標とした。まず、先行サービスが抱えている問題の発見や、市が公表している既存の問題を調査するため、インターネット上で情報収集を行った。次に、市が運営している函館市地域交流まちづくり支援センターと、デイサービスの施設であるコミュニティハウスよしずみでフィールドワークを行なった。そして、問題から導いた仮定が正しいかどうか、ヒアリングを行った。1つ目のフィールドワークでは、各地のまちづくり活動の支援をしている方に、どのように高齢者の方々の居場所作りを支援していけばよいか聞くことを目的とした。2つ目のフィールドワークでは、デイサービスを利用している高齢者に対して、電子デバイスの使用に関する意見を聞くことを目的とした。そして、これらの調査から見えてきた問題をもとに、ブレインストーミングを行い、函館市の高齢者に対しどのようなアプローチでプロダクトに落とし込んでいくのか決定した。そこから、函館市の高齢者が自分らしくいられる居場所の発見・共有を行えるアプリケーションを提案することとした。

図8

図9

「高齢者の居場所を見つける支援」という案を頂いた

フィールドワークで、函館市地域交流まちづくりセンターの丸藤競さんにお話を伺った。そこで、「生きがい」「自分らしくいられること」「健康」「日常」が、高齢者にとって大事なことのひとつだと知るきっかけになった。また、高齢者の居場所情報を集約させるサービスの案も頂いた。さらにそこから意見を広げて、函館市の高齢者が「自分らしくいられる居場所」の発見・共有というアプリに決めることができた。

図10

スマホを使う高齢者へのユーザーインタビュー

開発しているアプリのデザインが高齢者の方が使いやすいと思ってもらえるのか確かめるため、函館認知症の人を支える会にユーザーインタビューを行った。高齢者の方にアプリの概要を説明して、実際にアプリを使ってもらった。そして、具体的な意見を数多く頂いた。例えば、横スクロールで表示する画面設計が高齢者にとってあまり使いやすくない、スクロールの終端が視覚的にわからないと指が反応していないのかスクロールが終わってるかの判断がつない、といった意見を頂いた。実際に高齢者の目線でなければ気づけない問題も多いことがわかった。

図11

- FUTURE -

今後の「#いばしぇあ」

自分たちの定めたゴールである、回覧板ページと検索機能を実際にスマートフォンを日常的に使用する高齢者に対して、今後もユーザーインタビューをしてしていきながら実装しよう考えている。繰り返しユーザーの意見を反映していくことによって、より使いやすいUIや、システムの変更をしていく。また、ユーザーのデータ管理をするにあたって、Firebaseを用いてアプリケーションのバックエンド処理をする予定である。サーバーの管理や保守の手間が少ないことや、導入が比較的簡単であることから、Firebaseを選んだ。

付録

デモ動画