シビックテック チーム

田中智弥、浦田柊、渡邉篤弥、若林希紀、田島鼓太郎

- PRODUCT -

日本語初学者の観光を手助けするアプリケーション

はこだてきすと /Hakodatext

案内板などの観光事業に関わる文章を、やさしい日本語に変換された文章で表示する。やさしい日本語とは、日本語に不慣れな人であっても、言葉の意味が簡単に伝わるような表記方法である。この機能に加えて、マップ上で周辺の観光地を検索できる機能、観光への意欲を促進させるスタンプラリー機能などを追加する。このアプリケーションによって、観光地の情報を多くの人に理解してもらい、観光をより楽しんでもらうことを目標とする。

図1

「はこだてきすと /Hakodatext」 の機能

やさしい日本語を表示する機能

1つ目は、やさしい日本語を表示する機能である。QRコードを読み取ることによって、案内板などの観光事業に関わる文章をやさしい日本語に変換された文章で表示する。その他にも、読み取ったQRコードのデータをもとに、対応した観光地の名称、写真、所在地といった情報の表示も行う。やさしい日本語を採用することで、難しい表現をなくし、あまり日本になじみのない外国の方や、日本語学習中の小学生にもわかりやすく伝えることができる。また、情報取得方法をQRコードにすることで、ユーザーは観光情報を容易に取得できる。観光地の情報を分かりやすくし、より函館観光を楽しんでもらう。

図2

観光地の場所を示すマップ機能

2つ目は、マップ上で現在地と、やさしい日本語に対応している観光地が確認できる機能である。やさしい日本語に対応している観光地がマップ上でピン表示されている。また、ユーザーの現在地から近い順に観光地が一覧表示される。これらによって、ユーザーは現在地からアクセスの良い観光地を探すことができる。

図3

iOSとAndroidの両方に対応

3つ目は、Android、iOS両方に対応していることである。このことから、ユーザーは使用している端末に関わらずアプリケーションを使用できる。また、使用端末に応じたボタンの配置やテキストサイズの調整など、ユーザーの使いやすさを意識したアプリケーションの設計をすることで、iOS、Androidいずれのユーザーであっても、負担なくアプリケーションを使用できる工夫を行っている。

図4

開発に使用した技術

図5

- PROCESS -

情報とITを用いて函館市の課題を解決する

シビックテックチームは、入手可能な情報とITを用いて函館市の課題を解決するシビックテックを行い、市民生活の改善を目指している。シビックテックとは、市民自身がテクノロジーを活用し、自分たちで行政サービスの問題点や地域課題を解決しようという取り組みのことである。前期では、外部講師によるシビックテックについてのレクチャーの受講や類似事例の調査によって、函館市の問題をどう解決していくか模索した。また、これらの活動を踏まえてチーム内で議論を重ね、テーマを「やさしい日本語を用いて観光地の案内表示をよりわかりやすくする」に決定した。シビックテックの定義の広さから、取り組むテーマが明確に定まっておらず、テーマ選定に多くの時間がかかった。その中でも、全員が積極的に意見を出せる環境を目指し、議論を活発に行うことでよりよいテーマを選ぶことができた。

図6 問題、類似事例の調査
図7 Code for Hakodateへヒアリング

函館は観光業が盛んな街であり、外国人観光客も多く訪れる。そのため、観光案内表示が理解できるかどうかはとても重要であると考えた。そのため、現在の観光地案内表示についてインターネットを使用して調査をしたところ、函館市民の要望や質問への回答が集められている函館市公式ホームページ上の「市民の声」に「市内の観光施設等を掲載している観光案内板においては、設置当時の外国人観光客の状況等を考慮し、対応言語を選定したものとなっている」という記述を見つけた。このことから私たちは「現在の観光案内表示はマイノリティな言語を扱う観光客への十分な配慮ができていないのではないか?」と考えた。

図8

さらに調査を進めると、「やさしい日本語」という表記方法があることがわかった。やさしい日本語とは「簡易な表現を用いる、文の構造を簡単にする、漢字にふりがなを振るなどして、子どもや日本語に不慣れな外国人にもわかりやすくした日本語」である。これを観光案内表示に適用し、簡単に見れるようなシステムがあれば、観光地に訪れた多くの人が観光案内を理解でき、観光の手助けになるのではないかと考えた。

図9
図10

北海道教育大学函館校の地域プロジェクトとの連携

やさしい日本語を用いたシステムを開発したいと思っている中で、北海道教育大学函館校の地域プロジェクトの1つが「観光地の案内板の文章をやさしい日本語に変換する」という活動を行っていることがわかった。自分たちの成果物を様々な形で発信したい教育大と、やさしい日本語を用いて観光地の文章をよりわかりやすくするシステムを開発したい私たちの目的が一致していた。そのため、私たちは「自分たちが目指していること」と「現在行っている活動」を紹介し、連携を申し出た。その結果、「教育大が行っている活動の発信をサポートする」というかたちで教育大と連携してアプリケーションの開発を行うことになった。

図11

- FUTURE -

今後の 「はこだてきすと /Hakodatext」

観光への意欲を促進させるスタンプラリー機能、アプリケーションの改善に役立たせるアンケート機能の実装を行う予定である。その後、対象ユーザーである日本語初学者に使ってもらい、レビューをもらって改善することで、よりユーザーが使いやすいアプリケーションの作成を行い、一般公開を目指す。

著作者一覧

図1 渡邉篤弥. 「はこだてきすと 機能紹介」

図2 渡邉篤弥. 「QRコードからやさしい日本語表示画面の遷移」

図3 渡邉篤弥. 「マップについて」

図4 渡邉篤弥. 「Android iOSの画面」

図5 渡邉篤弥. 「情報の受け渡し方法」

図6 渡邉篤弥. 「シビックテックについてのレクチャー」

図7 渡邉篤弥. 「miroを使用したブレインストーミング」

図8 渡邉篤弥. 「アプリケーションを作成する経緯」

図9 渡邉篤弥. 「やさしい日本語とは」

図10 渡邉篤弥. 「やさしい日本語の具体例」

図11 渡邉篤弥. 「北海道教育大学函館校との話し合い」

付録

デモ動画